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| 「東京都における人事制度の現状と今後の方向」に対する見解 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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1.はじめに東京都は7月25日に、『東京都における人事制度の現状と今後の方向』(以下、『人事制度白書』という)を発表するとともに都労連に対する説明を行った。『人事制度白書』に対しては既に都庁職も見解を発表しているが、自治労連都職労は、その影響が東京都のみに止まらないことを重視し、産別組織の立場からその基本的な狙いに対する見解と今後の対応を明らかにするものである。 2.どういう情勢の下で『人事制度白書』は発表されたか
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| 1) | 都人事当局は、「…中長期的視点で現行の人事制度全般にわたりその現状と今後の方向について検討してきた結果をまとめたもの」と経過を説明しつつ、「近年の、行政運営への市場原理の導入や少子高齢化、財政危機など社会経済状況の大きな変化が、行政の役割をかつてないほどに変容させ、公務員の人事制度について、将来を見据えた改革を強く促している…」、などと検討に至る事情を述べている。 |
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| 2) | ここに示された「事情」、即ち「行政運営への市場原理の導入や少子高齢化、財政危機など…」は、誰しもが否定しがたい客観的事実として描かれているが、実はこれは20年来の政府・財界の「臨調行革」路線が積極的にめざしたか或いは行政の対策の遅れや誤りに起因しその結果生み出されたかのいずれかによるものである。 しかも都当局は、このような「時代の潮流、わが国が直面する問題状況」を自明の如く見なし、「都においては…(それが)先端的に現れるのが常であり…もはや人事制度の改革は、避けて通ることができない…」との認識(決意)を示した。 |
| 3) | 当局の説明は、「結果」を招いた原因には口を閉ざす一方で、(今以上に)「… 行政の役割を変容させ」たいという政策的本意を覆い隠すものであり、「説明責任」を果たさないばかりか、“トリック”を弄していると言わねばならない。 |
| 4) | 一方、本日人事院は、2年連続での一時金支給率の削減及び年間給与総額のマイナスなど史上最悪の勧告を行うとともに、「職員の給与に関する報告」及び「公務員人事管理に関する報告」を発表した。 「報告」は、「職務と能力・実績に応じた給与システム」や「公務員人事管理」の「改革」に多くのスペースを割き論じている。 そこに、来年の中央省庁の再編をはじめ行革・規制「緩和」(撤廃)のより大規模な実行段階にあたり、人事面から「…社会経済システムが大きな転換期を迎えている中、行政に課せられている課題に適切に対応」(「職員の給与に関する報告」の巻頭文)しようとする人事院の強い姿勢がうかがえる。 |
| 5) | 石原知事は、就任以来、「東京から日本を変える」と息巻いてきた。 「公務員制度調査会答申」(99年3月)、「地方公務員制度調査研究会報告」(99年4月)、99年人勧、など昨年来の公務員制度・人事管理改悪の動向は急激であり、今回の都『人事制度白書』発表は、文字通りその先端を進もうとするものである。また、昨年の賃金削減提案と同様、マスコミ各社のセンセーショナルな報道にも警戒しなければならない。 |
| 1) | 反動性をむき出しにする石原都政は、都財政の危機を、第一に福祉切り捨てなどによる住民負担の強化で解決しようとしており、この3月都議会でシルバーパスの全面有料化、老人福祉手当・老人医療費助成の廃止などを強行した。 |
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| 2) | また、第二に「厳しい内部努力がなければ(施策切り捨てへの)都民の理解は得られない」として、職員に対しては全国で最も厳しい内容の給与カットや4年間で5000人の定数削減計画を示し、初年度だけで4割強=2,138人を強行した。 |
| 3) | 石原知事は、自衛隊を軍隊と呼称し、在日外国人差別と併せた防災訓練の治安出動演習化や憲法破棄について再三にわたり発言するなど、極めて強圧的で非民主的な憲法蹂躪の人間性をあらわにしている。 |
| 4) | 都は、7月末に発表した来年度予算編成方針でも、1年前の「財政再建推進プラン」に基づく経費削減(15%〜25%のマイナスシーリング)や職員定数削減(管理事務部門の向こう3ヵ年5%削減など)を打ち出した。 |
| 5) | その一方で、圏央・外環など三環状道路や羽田の国際空港化など、「環状メガロポリス」都市構造に向けた「交通ネットワーク」の構築とともに、破綻が明白な臨海地域での新たな整備方針を策定しようとしている(第2回都議会、知事発言)。 |
| 6) | 80年代から始まった20余年来に及ぶ臨調「行革」路線の下で、都政の執行体制も大きく「変容」し、今また政府・財界の21戦略に呼応した「都政の構造改革」方針によって、激しく矛盾が吹き出しつつある。 |
| 7) | 79年以降の人減らしは45,000人・20%を超え、下請け・民間委託の拡大と不安定労働者の増大、長時間過密労働と違法なサービス残業・不払い労働の蔓延、年休・生休の取得率の低下によって都庁労働者の権利侵害と健康破壊が進行している。 平成10年の年間病気休業30日以上の職員の原因疾患で「精神障害」が遂に第1位となるなど、極めて深刻な事態にある。 |
| 8) | 職場では、税務「示達」攻撃の下で差し押え「ノルマ」や時間外・休日の「臨戸徴収」出勤が強要され、石原都政となってからは「外形標準課税」導入や「危機突破戦略プラン」などに基づく「改革」に向け、少数幹部職員による意思決定過程の密室化が都庁各局で現れている。 |
| 9) | 「業績評価」導入から15年、7年目の管理職の一時金への成績率査定、昇任・異動への活用が更に嵩じ、いよいよ「降任」にまで突き進んでいる。 これに知事の若手の意識「高揚」を狙った「文化大革命」方式の称揚(庁内放送)なども加わり、上意下達=上司命令の絶対化と異常な「信賞必罰」人事、労働組合等への敵視策によって、知事とその側近を頂点とした都庁支配が構築されつつある。 |
| 1) | 当局は、都労連に「現行制度を正確に検証し、今後の方向についてまとめた《問題提起の書》及び《人事制度改革への出発点》となる」と胸を張り説明している。 実際には、「現行制度の運用状況」の検証は、いわゆる『成績主義白書』(平成8年8月)と殆ど同様で、この4年間のデータを継ぎ足した程度に過ぎず、前述の「3.都政と都庁労働者をめぐる状況」のような現実には全く見向きもしていない。 これに対して、「今後の方向」では、都労連との間で交渉中である「昇給停止年齢の切り下げ」や「成績率」導入問題に加え、係長級や管理職の昇任制度の複線化、定昇、級格付け、退職手当、はては給料表構造自体、そして再雇用・非常勤制度にまで広げ、抜本的見直しに言及している。 |
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| 2) | 一方、今後の制度改革の方向を導き出すための「論立て」は、行政をめぐる状況の変容から説き起こし、地方公務員制度の考察と都における制度改革の必要性については、簡潔で「直接的な」表現が際立っており、強力な意識改革を企図している。 |
| 3) | 後者(第1章〜第3章)の主な論立ては、当局作成の「概要」によれば、「市場化の進展」「経済社会状況の変化」が「行政の役割を量的・質的に変化」させ、「地方公務員の人事制度」も民間企業と同様に「中長期的視点に立った改革が避けて通れなくなった」との三段論法である。 とりわけ、「閉鎖性」「非競争性」の重用から、「危機意識」・「コスト意識」・「切磋琢磨の意識」の三つが欠如・希薄で、「機会の平等」より「結果の平等」重視の傾向を助長させた、と何らの論証なく激しく罵倒している。 |
| 4) | 以上から、『人事制度白書』の狙いは、現行人事制度及び運用にすら飽き足らず、その根底からの構造改革(一層の改悪)にある。 これは、今後の劇的な行革・リストラ、自治体行政の「市場化」・民営化攻撃の開始にあたりその「障害」となっている現行公務員人事制度の「負の側面を打破する」苛立ちを込めた宣戦布告と言わなければならない。 |
| 5) | また、前作『成績主義白書』と比べても「正確な検証」の姿勢とは程遠く、流行の「市場原理至上主義」を象徴するキーワードをまるで熱病にうなされたかのように畳みかけ、都庁職員と労働組合を「マインドコントロール」しようとの魂胆かも知れないが、それは矛盾を一層深め、大きな抵抗に遇い、挫折するだろう。 |
| 1) | 公務員人事制度の基礎をなす自治体の役割 |
| (1) | 自治体の役割(責務)とは、「地方公共の秩序を維持し、住民及び滞在者の安全、健康及び福祉を保持すること」(地方自治法)であり、「地方分権」の時代であれ「情報化・国際化・市場化の進展」があれ、その基本は変わらない。 ところが、『人事制度白書』の論立てではこの点が完全に欠落している。 |
| (2) | その自治体の設置目的を果たすために、財政、施設・資材などとともに執行体制・組織があり、担い手である職員が目的に相応しく行政に携われるために人事制度が定められるべきである。 |
| 2) | 自治体の役割を発揮するための基本的原則 |
| (1) | 「住民こそ自治体の主人公」は、私たちが一貫して掲げてきたものだが、その住民の暮らし・営業・健康・福祉・教育などが今ほど行革リストラの嵐によって危機にさらされている時はない。「市場原理主義」は自治体の公的責任・公共性を否定してきたが、圧倒的多数の住民のための自治体行政を取り戻さければならない。そして、住民奉仕、住民自治と団体自治が相まった行政の民主化が求められている。 |
| (2) | それを実現するため、「全体の奉仕者」としての職員の働きがいと労働条件は、基本的人権保障の見地にたって確保されなければならないし、自治体行政の「民主的で能率的な運営を保障し…地方自治の本旨に資する」(地方自治法第1条)ためには民主的な職場でなければならない。 『人事制度白書』の第4章「現行制度の運用状況と制度的課題」では、人事制度の沿革にふれて随所で革新都政時代の「長谷部助言」に言及しているが、「(人事制度は)職員の参加意識の高揚と自発性の喚起(が重要な要件であり)」、「職員間の競争心をあおるのではなく、職員全体の労働意欲を高め、活気に満ちた職場環境の実現」を提言していることを全く無視している。 現在の都庁の主要幹部職員は、経歴から推測すればその多くはこのような視点を身をもって体験している筈だが、30年近い年月を経て時代の趨勢に取り込まれ忘却したのであろうか。 |
| 3) | 「能力・業績主義」がもたらした重大な教訓 |
| (1) | 『人事制度白書』が手放しで賛美する「能力・業績主義」は、その先行実験場となった民間企業で労働者の競争をあおり、労働条件と権利を著しく落とし込め、昔日の「会社主義」が希薄化し、東海原発臨界事故・JR新幹線コンクリート塊崩落事故、最近では雪印食中毒事件など「安全神話の崩壊」現象が続出している。 今や日経連会長ですら「技術の日本」の威信低下、経営責任者の倫理欠如(「モラルハザード」)を厳しく指弾せざるを得ない状況となっている。 |
| (2) | 都の前作『成績主義白書』が発表された96年のその年の労働省「雇用管理調査」によれば、人事考課制度について、調査対象でかつ実施企業の実に90.5%もが「制度・運営上の問題点あり」と回答している。 その内容は、「質の異なる仕事をする者への評価が困難」「考課者訓練が不十分」「評価基準が不明確又は統一困難」の順となっている。 |
| (3) | また、中堅証券会社「アーク証券」の社員2名が訴えていた「能力給導入による6〜7割もの賃金削減」の不当性に対して、今年1月31日に東京地裁は、「企業存亡の危機といえるほど高度の必要性はなく、賃金制度変更に合理性がない」として、2名分の差額累計で4千万円の支払いを命じた。 |
| (4) | 都の前作では、評定結果の本人開示について「人材育成や能力開発により有効に活かしていくために検討していく」としていたが、4年経っても依然として「実現」の目処すら示されていない。 |
| (5) | このように、都人事当局は、業績評価制度導入以来15年間の日本の「経済社会の状況」から何も教訓として学んでいないばかりか、4年前の「約束」すら達成していない。 |
| 1) | 『人事制度白書』は、石原知事のこれまでの都政運営すなわち政府・財界のめざす「21世紀戦略」に基づく都民・職員犠牲と捻出した財源や都有財産を大企業・ゼネコンなどの利益となるよう投入・売却する狙いをもった都政リストラを一層すすめるために、「意識改革」「人事管理制度の改革」の必要性を強調し、基本政策を担う従順な人づくり・体制づくりをめざしたものである。 |
| 2) | そして、その具体的な直接の目標は、先に見たとおり「採用」「昇任」「給与」「人事考課制度」「人材育成」「再雇用・非常勤制度」など全面的で抜本的なものである。 人事制度は、一人ひとりの職員の生涯を左右する重要な労働条件である。今回の改悪は規模・質ともに都庁労働者に計り知れない損失と打撃をもたらし、ひいては、都民生活にも影響を及ぼすもので、自治労連都職労は、断じて容認できない。 |
| 3) | 今後、都労連を中心とする対都確定闘争の重要な柱として闘いが展開されるが、自治労連都職労もこの闘いに結集して奮闘するともに、全国的に与える影響を考慮し、99年確定闘争の経験も活かし、関係組織の合意の下に全都・全国的な力の結集が図れるよう努力を惜しまないことを表明する。 |
| 4) | また、『人事制度白書』の非民主的な本質と住民・職員にとって真に必要な「人事制度の民主化」の基本方向について、学習を深め、職場の団結を固め、庁内外の宣伝を強め、広範な労働組合・都民団体の理解と支持・協力を得る取り組みに全力をあげる。 |
| 5) | 労働者・国民にとって真に基本的人権と「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利」の確立という憲法のめざす輝かしい21世紀を展望したとき、「時代の先端を走る」と豪語する都が、実は最も時代の向かうべき方向に立ち遅れることのないように、この『人事制度白書』の見地を白紙に戻し、都労連などとの誠意ある態度で徹底した協議を尽くすことを強く要求するものである。 |