スタートした介護保険に対する当面の取り組みについて

2000年5月16日 自治労連都職労中央執行委員会

 以下の「スタートした介護保険に対する当面の取り組みについて」を中央執行委員会として確認しました。

はじめに

 自治体や関連職場の残業と休日出勤など必死の努力で、なんとか4月1日から介護保険制度がスタートしました。
 しかし、この制度はこれまで私たちが欠陥を指摘してきた通りさまざまな問題が噴出し、特に低所得者を中心に人権や命にまで係わる問題となっています。
 東京都は、介護保険制度導入を理由に老人福祉手当や特養ホームなどへの補助金のカット、また養育院をはじめ介護施設職員配置基準を2.8対1から3対1へと改悪しました。
 各区当局は、国・都と一体となって住民生活を守り充実させる立場を放棄して、ヘルパー需要の高まる中でも、逆にこれまでの区直営のヘルパー事業を後退させ、老人福祉手当のカットや福祉事業の民間丸投げを行っています。
 この間の私たちの運動で政府与党に「このままでは総選挙に重大な影響が出る」と危機感を抱かせ、1号保険料の半年凍結・その後1年間半額への据え置きや地域では現行ホームヘルプ事業の維持など実現させてきています。
 しかし介護保険制度は、福祉きり捨て・福祉の市場化、公的責任の放棄、企業参入の典型として進められており一定改善されても重大な欠陥・問題を抱えています。自治労連都職労は、介護保険スタートを新たな運動のスタート台として、国や自治体に向けた運動を一層広げていきます。

 1.スタート直後の介護保険の問題点

  1. 制度の周知不足により、申請をしない人が多い状況や認定されてもケアプラン作成を依頼しない。
  2. ケアプラン作成が間に合わない状況。
  3. 現行より大幅に負担増となる人が続出している。
  4. 低所得者にとって重い利用者負担でサービスの辞退をする。
  5. 支給限度額を超えた人が現行サービスから後退する。
  6. 特養ホーム、デイサービス、ショートステイなどの基盤整備の遅れから必要なサービスが受けられない。
  7. 特養ホーム・病院からの追い出し、サービスの押しつけなど企業収益第一主義の動向。

 2.この間の運動の到達

 自治労連都職労は、実施主体の自治体の職員を組織する労働組合として積極的な役割を発揮してきました。東京社保協に結集し学習パンフの発行、ケアマネージャー養成講座、対都要請、介護110番など取り組み、また社会福祉部会と家庭奉仕員協議会を中心に学習会への講師派遣、政策提起、9区支部での宣伝・署名行動など展開してきました。さらに介護保険関連支部を中心に地域社保協に結集し学習会講師派遣や対区・議会要請署名、対区交渉の取り組み、全老人クラブ・町会・自治会への要請、シンポジウム、学習会の開催、策定委員会の傍聴など取り組んできました。
 かってない地域からの共同の運動の広がりで、新たに8自治体に社保協が結成されこれまでの東京社保協加盟は、23区が全域、三多摩も含め38の地域社保協が結成されました。都や区に対する要求運動は、いくつかの区で(1)介護ベッド、(2)住宅改修など従来実施してきたサービスの一般財源による存続、(3)低所得者に対し利用料を3%に軽減するという国基準の対象範囲を拡大する、(4)自立と認定された人へのサービスの継続、(5)介護保険以外の現行サービスの継続など、区独自の施策として実現させました。

 3.介護保障確立運動の位置づけ

  1. 介護保険制度は、国の社会保障・福祉の切り捨てと規制緩和、そして市場化と国民の負担増の社会保障構造改革を推進する典型として位置づけ進められています。そのため、介護保険制度はさまざまな欠陥を持っており、社会保障構造改革の本質とねらい、矛盾が非常にわかりやすく、かってない地域からの共同した取り組みが発展しています。
     また、介護保険制度の問題を通して攻撃の「ねっこはひとつ」として年金・医療・公衆衛生・保育・障害者分野などすべての分野への攻撃であることがさらに明確になっています。介護保険に対する運動が地域からの社会保障運動を築く環となっています。
  2. 介護保険に対する取り組みは、引き続き住民福祉、住民自治をすすめる重要な課題であ り、地域からの運動があってこそ改善できるものです。
     特別養護老人ホームなど介護施設は介護保険のみでこれまでの水準が維持できない厳しい経営状況に追い込まれています。また、介護保険導入で障害者・高齢者施策が切り捨てられ、困難な状況です。したがって自治体労働組合がこれらの関係団体や地域住民の中に大きく足を踏み出し、懇談や共同の運動を通して地域における自治体労働組合への信頼を確立していきます。
  3. 介護保険は、法的枠組みの中で規制を受けますが、しかしあくまでも自治事務です。介護保険に対する地域住民の不安の増大や関心の高まりから、さらに大きな共同の広がりが可能です。「住民自治」を発展させる課題として介護保障基本条例制定運動を取り組みます。
  4. 自治労連都職労2000年春闘アンケートで「充実させたい家計支出」で2位が「老後の備え」で40代後半からトップとなっています。また「今、不安に思っていること」では「自分の健康」についで2番目に「老後の生活」が続いています。アンケート結果からも高齢者問題、特に介護問題に関心を持っている比率が高いといえます。すでに、40歳以上の組合員は4月から介護保険料が徴収されていますが、介護保険創設で不安が解消されたわけではなくかえって増大していると言えます。
     また、現在、(祖)父母をかかえる組合員の介護要求は切実であり介護保障を確立する取り組みは、組合員の切実な要求でもあり労働組合の取り組みが求められています。
  5. 住民や組合員の介護保障制度の充実に対する要求は、国や自治体の財政問題と直面します。特に日本の財政は、大型公共事業に毎年50兆円も使うのに社会保障には20兆円、異常な「逆立ち」した予算の使い方となっています。
     特に介護保険は、高齢化社会のためとして導入された消費税、その5%へのアップにもかかわらず、高齢者介護に係わる国の負担を50%から25%に半減、国民には2兆円の利用料、保険料の負担増という国民犠牲を強いています。
     このように介護保障確立の取り組みは、否応なしに国・自治体のあり方、「税の使い方」を問い、総選挙で自民党政治の本質・実態を明らかにできる課題、争点となり住民本位の国政・自治体行政への転換を実現するものとなりえます。

 4.具体的な取り組み

  1. 各区の条例の内容を把握し自治労連の「介護保険制度に係わるチェックポイント」を活用し到達点・問題を分析し把握します。
     a.すでに実施している自治労連都職労の「介護保険制度実施に係わる調査」を整理し取り組みの到達点と課題を明確にします。
     b.自治労連の「介護保険の制度化内容と組合の取り組みに関する調査」を取り組みます。
  2. 介護保険担当職場・福祉職場、ホームヘルプ事業職場・福祉事務所・公衆衛生職場・医療職場、さらに委託の特養ホームなどの職場の状況と問題点を把握し職場要求を来年度の予算要求に反映させます。
  3. 社会福祉部会、各支部の介護保険関連職場を中心に自治労連都職労の職場自治研を開催します。
  4. 介護保険制度で発生している問題を把握します。
     支部として、また地域社保協と協力して、「介護保険110番」を実施しマスコミを通じたアピールをめざします。
  5. 地域社保協と協力して国に対し介護保険の抜本改善と大幅な財政支出を求め、東京都や各区当局に対し懇談や要請、議会意見書採択を取り組みます。さらに国に向けて「介護保険の緊急改善を求める請願」署名を取り組みます。
  6. 介護保険の問題、矛盾はケアマネジャーに集中しています。ケアマネージャー交流集会、中央社保協主催5月27日(土)(神奈川) 東京社保協6月15日(木)(ラパスホール)に積極的に参加します。
  7. 7月8日(土)「自治労連介護保険拡大全国代表者会議」に関連各支部から積極的に参加します。
  8. 東京自治労連に結集し、都区一般とともにヘルパーや特養ホーム等の施設職員、ケアマネジャーの労働条件改善、組織化に向け取り組みを進めます。
  9. 発生している問題点を把握し国・都に向けての要求、各区に対する改善要求について、住民と共同して学習会・シンポジウム・懇談会、各区当局との懇談や要請、各議会請願や署名活動を推進します。
  10. 東京都の「福祉施策の新たな展開」による福祉施策を2000年度予算でも計上している区では、今後カットされることが予測されます。削減されないよう6月補正予算に対する運動など取り組みをすすめます。
以 上