すべての都区民が安心して利用できる介護保障をめざして
―介護保険制度の施行にあたって―

2000年4月1日 自治労連都職労中央執行委員会
 多くの問題を山積みしたままで4月1日介護保険制度がスタートした。
 石原都政は、介護保険導入を理由に養育院など介護施設の職員配置基準を2.8対1から3対1へと改悪、老人福祉手当の廃止や特別養護老人ホームへの補助金カットを強行した。また、福祉から撤退をねらう区政は、直営によるホームヘルパーを廃止縮小や介護保険導入を口実にした福祉事業の民間丸投げなど職員の労働条件改悪と切実な住民福祉の切り捨てを実施した。
 介護保険は、制度そのものの欠陥や不備により、施行日直前に内容の一部が変更されるなどによりケアプラン作成の重大な遅れが深刻となっている。そればかりか、保険料・利用料負担の増、サービスの後退、基盤整備の遅れ、特養ホームからの退所強要などの深刻な実態が表面化し始めている。また制度が十分周知されていないことや、利用料負担の重さから多くの人が未申請の状況になっている。読売新聞の23区と7市に対する調査では、要介護の認定を受けた人のうち、ケアプラン作成を届け出た人は69%にとどまっており、「ケアプラン大幅遅れ」「見切り発車、必至」と報道されている。
 介護保険の本質は国庫負担の削減、受益者負担の強化と「市場化」をすすめる社会保障構造改革の突破口であり、こうした状況になることは、わたしたちが積極的に行ってきた対区要請、学習会や懇談会の中で指摘し続けてきたものである。自治労連都職労は実施主体である自治体の職員を組織する労働組合として、積極的な役割の発揮をめざして介護保険関連支部を中心に地域社保協や老人クラブ、町会・自治会、民生委員などとの共同を広げる運動を展開してきた。また、社会福祉部会・家庭奉仕員協議会は、学習会への講師派遣や政策提起、駅頭や商店街での宣伝行動を展開してきた。
こうした運動の中で、当初は多くの人たちが持っていた介護保険に対する幻想が、事実の解明とともに怒りへと変わり、介護保険をめぐる広範な共同の広がりが地域運動として結実し、東京における地域社保協が新たに8自治体で結成されるまでとなった。さらに、都や区に向けた運動により、介護ベット、住宅改修など従来行ってきたサービスの一般財源による存続や、利用料を3%に軽減する国基準対象範囲を拡大する低所得者対策など区独自の施策を数区で実現させている。
介護保険法成立時に7〜8割を占めていた介護保険への国民の期待は、大幅に低下し、毎日新聞の調査では「介護保険の先行きに不安」が86%、朝日新聞の調査でも「この制度で今後は安心して老後を迎えられる社会になると思わない」は77%になってきている。
 住民が安心して受けられる介護保障にしていくためには、介護保険制度の抜本的な改善のため、緊急な基盤整備の推進、保険料・利用料の減免制度、実態に見合った認定、充分な相談窓口や苦情処理の体制の確立、介護保険以外の施策の充実は不可欠である。そのためには、国の責任としての制度の改善と国庫負担の大幅な増額は欠かすことができない。また、福祉や介護サービス向上のため、民間丸なげをせず自治体が公的責任を果たすことである。
 欠陥だらけの介護保険制度により担当の自治体職員は連日の残業や、休日出勤など超過密労働を強いられている。私たちは、自治体労働組合として、住民本位の介護保障の確立をめざし、人員増をはじめとした労働条件の改善とともに、継続した地域運動として発展させることも求められている。 自治労連都職労は、介護保険の施行されたこの時を介護保障の確立を求める運動の新たなスタートとして位置付ける。21世紀の地方自治・住民自治の発展をめざす運動の重要な一つとして、自治体労働運動の重責を自覚し、住民との共同を一層広げ、すべての都区民が安心して利用できる介護保障をめざして全支部、全組合員の団結の力で奮闘しよう。 
以 上